1.パソコンの買い替え時は?
取引先とのメールのやり取り、あるいは業務システムで日々の売上集計や会計入力など普段の業務にパソコンは欠かせません。会社で使うパソコンが壊れたり、あるいは反応が遅くなったりすると業務に支障がでてきます。とはいえ、パソコンを複数台、一気に購入するとなるとまとまった出費になりますので、パソコンの買い替え時は悩ましいところ。会社経営の観点からすれば、できるだけ長く使いたいものです。
しかし、パソコンやプリンターの周辺機器は、基本的に消耗品と考えたほうがよいでしょう。家にあるテレビや洗濯機など家電と違って、パソコンは常に計算処理し、内蔵する記憶装置を書き換え続けたり、発熱するので冷却ファンを回したり、など日々消耗しています。また、インターネットの進化やソフトの高度化などでパソコンに要求される基本性能も年々、高度化していますので、パソコンが陳腐化するのも早いのです。
メーカーがパソコンの寿命の目安としているのは「5年」です。といっても、5年経ったらいきなり壊れるわけではなく、徐々に性能が低下し、処理速度が遅くなったりします。特に目立ってくるのはパソコンのスイッチをONにしてからの立ち上がりの遅さです。朝の業務開始でパソコンが立ち上がるのを待つのはなんともイライラさせられます。それでも遅くなったとしてもパソコンが複数あれば1台くらい壊れたとて業務は止まりませんし、多少の我慢をしながら使うのも経済的には悪くはないでしょう。
ただし、Windows10を搭載したパソコンにおいては、マイクロソフトのサポ-トが2025年10月に終了しますので、買い替えを進めるに越したことはないでしょう。
2.Windows10のサポート終了とセキュリティ
会社のパソコンには、経理データやネットバンキングのアカウント情報、顧客のデータなど営業上の秘密が詰まっています。そのためコンピュータウィルスの侵入やハッキングなどを防ぐようセキュリティ対策が欠かせません。しかし、Windows10のサポートが終了するとなる、OSの利便性向上やセキュリティ維持が止められることになり、コンピューターウィルスの侵入や不正アクセスなどのリスクが高くなります。
幸いにも、マイクロソフトがWindows10セキュリティサポートの延長(Windows10拡張セキュリティ拡張プログラム)を提供していますが、有償で契約しなければなりません。その費用は、1台につき1年目61ドル、2年目は2倍の122ドル、3年目は3倍の244ドルとなります。最大3年間を引っ張って427ドル(1ドル150円換算で6万4000円)のコストがかかります。また、セキュリティサポートがいつまでも続くわけではなく、いずれはパソコンの買い替えを避けることは難しいでしょう。
Windows10で動いているパソコンはすでに長時間稼働しており、またいずれ買い替えが必要になることからセキュリティサポートが有償化される2025年10月までに買い替えるのよいでしょう。
3.PCなどの機器購入による節税
PCやプリンター、ルーターなど周辺機器の購入費用は、減価償却資産として複数年度で経費計上することなりますが、中小企業の場合は購入した決算期で一括費用計上したり、償却期間を短縮化することができます。
①1台あたりの単価が20万円以上30万円未満の場合
少額減価償却資産の特例を適用することにより、1台あたり30万円の減価償却資産は一括で損金に算入できます。なお、この制度は2026年3月までの時限措置です(2024年まででしたが、期限が延長されました)。ただし、上限は決算年度にあたり300万円までであり、設備などの動産に課税される償却資産税の対象にはなります。
②1台あたりの単価が10万円以上20万円未満の場合
一括償却資産として3年で償却することで短期償却できます。また償却資産税の課税対象にはなりません。
③1台あたり10万円未満の場合
消耗品費として経費(損金)計上できます。
節税についてはパソコンなどを購入する決算年度が黒字の見通しである場合ではありますが、顧問税理士とご相談の上、ご検討いただくことをお勧めします。
アイキャッチ画像:Image by pch.vector on Freepik