Doomについて

今回は、私がコンピュータやテクノロジーに興味を持つようになったきっかけのひとつについて書いてみたいと思います。

1990年代半ば、私はまだ十代前半でした。よく学校の友人の家に遊びに行き、そこで『Wolfenstein 3D』というゲームを一緒にプレイしていました。  

このゲームだけでも、少し紹介する価値があるかもしれません。

『Wolfenstein 3D』は、今ではおなじみとなったFPSジャンルの初期の作品のひとつです。  

プレイヤーはアメリカ兵となり、ナチス兵を機関銃で倒していくという内容です。  

まず第一に、かなり暴力的なゲームであり、11歳や12歳の子どもが遊ぶには少し過激すぎたかもしれません。  

さらにゲーム内には、ナチス・ドイツの象徴である鉤十字(ドイツ語では「Hakenkreuz」)が描かれていました。  

敵がナチスであるにもかかわらず、この描写だけでドイツでは販売も所持も禁止されていたのです。  

どうやってそのゲームを手に入れたのか、今となっては分かりませんが、とにかく夢中になってプレイしていました。

そして、さらにすごいゲームが登場しました。友人のPCにいつの間にか『Doom』がインストールされていたのです。  

今見てもレトロな魅力のあるグラフィックですが、当時としては本当に素晴らしいものでした。  

ただし、ゲームは友人のPCにしかなく、簡単にコピーしたり借りたりする方法はありませんでした。つまり、自宅で遊ぶことができなかったのです。

【Doomのスクショ】

当時のPCはMS-DOSで動作しており、ファイルをやりとりする手段は1.44MBのフロッピーディスクしかありませんでした。  

ところが、そのゲームのサイズはフロッピーディスク1枚には収まりませんでした。

もちろん、子どもだった私たちにはゲームを買うお金もありませんでしたし、仮にお金があったとしても、『Doom』もまた『Wolfenstein 3D』と同様にドイツでは違法とされており、どこにも売っていませんでした。  

(現在では、ビデオゲームに対する規制も変わり、『Doom』の販売禁止措置は解除されています)

そこで私は学校中を回って、ディスクを持っている人を探しました。ようやく見つけたものの、すぐにプレイできたわけではありません。

MS-DOSのコマンドラインで操作していた時代、今のようにドラッグ&ドロップでファイルをコピーするわけにはいきませんでした。  

ディスクコピー用の専用プログラムがあり、コマンドラインパラメータで操作する必要がありました。  

使い方を間違えると、元のディスクのデータを上書きしてしまう危険もありました。

また、PCの性能やメモリが足りない場合には、起動時に特定の設定を施すことで、無理やりゲームを動かすような工夫も必要でした。  

こうした事情もあり、私たちは自然とコンピュータやコマンドラインツールについて少しずつ学んでいくことになりました。  

説明書も英語だったので、それを読み解く必要もありました。  

今でもCLIツールを使った開発作業に親しみを感じるのは、このときの経験が影響しているのかもしれません。

ゲームをプレイしたい一心で、あきらめずに色々と試した経験が、私にとってはコンピュータとの関わりを深める大きなきっかけになったと思います。

【後で出来た、GUIがついたファイルコピーソフト】

さらにこのゲームには、敵やマップの配置を編集できる「レベルエディタ」が付属していました。  

説明書もなく、インターネットもまだ一般的ではなかった時代ですが、試行錯誤を繰り返しながら多くのことを理解していきました。  

この経験から、ゲーム(そしてその他のソフトウェア)がどのようにデータを保存し、操作しているのかについて、基礎的な理解を得ることができたと思います。

つまり、単にゲームを楽しみたかっただけなのですが、結果的に多くのことを学び、コンピュータやプログラミングへの興味にもつながっていったのです。

1993年に発売された『Doom』は、今なお多くのファンに支持されています。ファンが作成した新しいステージや改造データ(MOD)も数多く存在し、ゲーム内容を大きく変えてしまうものもあります。  

また、2016年には『Doom』シリーズのリブート版が発売されて高い評価を受け、最新作もこの春にリリースされました。

【Doomシリーズの最新:Doom The Dark Ages

アイキャッチ画像:Image by pch.vector on Freepik

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