若者支援で採用力をあげる方法~奨学金返還支援制度~

1.デフレ下でも上がり続ける大学の学費

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 今年度の政府予算のなかで高校無償化が話題となりましたが、家庭における教育費負担は現代の社会課題の一つと言えるでしょう。

 大学卒業までにかかる「子供一人当たりの平均的な教育費」は、全て国公立の場合は約1,000万円、全て私立に通学した場合は約2,500万円かかると言われています(出典:フコク生命 https://www.fukoku-life.co.jp/plan/tsubasa/basic/trivia9/ )。

 特に大学の学費は、この30年にわたるデフレ経済下にあっても増加基調にあります。

国立大学の年間授業料は1992年度の37.5万円から2021年度53.6万円へ、私立大学では1992年度の66.8万円から2021年度の93万円へ1.5倍前後に上昇しています。特に医学部・歯学部や理工系学部の年間授業料があがっています。

 世帯収入があがらない中で大学の学費は上昇しているため、大学生の奨学金利用者率は増加しています。奨学金制度として最も一般的なのが日本学生支援機構の奨学金制度です。この奨学金制度には「給付制度」(将来返済する必要がない)と貸与制度の2種類があり、令和5年度の利用者は給付制度で34万人、貸与制度で96万人(貸与額8,329億円)が利用しているそうです。(日本学生支援機構「奨学金事業に関するデータ集」、令和7年1月)。2024年度の大学生は約295万人ですので、大学生の3人に1人は奨学金という借金を利用していることになります。 

2. 奨学金という重荷

貸与制度を利用する若者は、大学を卒業した時点で借金を背負って就労することとなります。労働者福祉中央協議会(2022)実施のアンケート調査によると、返済総額の平均は約310万円となっています。卒業後に貸与奨学金の返済を要する若者は約475万人(2022年時点)で、そのうち約32万人(6.7%)は返済を延滞しているそうです。

さらに、奨学金の返済が生活設計に与える影響というのもあり、「結婚」「出産」「子育て」への影響を感じている比率は30%を超えているとのことです。

つまり、「奨学金の返済負担」や「子供にかかる教育費負担」が、晩婚化や少子化の原因の一つとなっていると考えられます。

図表9

出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ 

https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/2024/articles_0037.html

3.奨学金返還支援制度で若者を応援する

 企業が社員の代わりに奨学金を返済する「奨学金返還支援制度」に注目が集まっています。採用強化や人材定着を目的に、奨学金の全部あるいは一部を社員の代わりに返済するというものです。

 この制度のポイントは、

☞ 企業が奨学金返済を日本学生支援機構に直接送金する

☞ 返済額は、給与とは区別され、社員の所得税が非課税となる

☞ 返済額は、社会保険料の報酬月額にも算定されないため、企業の社会保険負担も
増加しない。

☞ 法人税としては、給与として損金算入できる。

 です。

 つまり、企業と社員の双方にとって税金や社会保険の負担がかからない、というメリットがあります。こうした取り組みが採用面で若者を惹きつける武器にもなり、令和6年10月時点では全国で2,587社が奨学金返還支援制度を利用しているそうです。

【参考】日本学生支援機構 奨学金返還支援制度

https://dairihenkan.jasso.go.jp

 

 熊本では、13の企業や組織が「奨学金返還支援制度」を活用しており、その大半は医療・福祉分野が占め、企業としてはシステム開発の九州ソフタス含む3社の民間企業が導入しているにすぎません。熊本県下において「奨学金返還支援制度」はまだ知名度が低いようですが、同制度を導入することで採用面で他社との差別化を図ることもできますので、検討の価値があるといえるでしょう。

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