突然のパソコン故障……データ救出で直面した「BitLocker」の壁

先日、突然お客様から一本の電話が入りました。

「停電があってから、パソコンが立ち上がらなくなりました……」

詳しく状況を確認すると、停電復旧後に電源を入れても、パソコンはまったく反応しないとのことでした。

まずは電話でできる範囲の確認をお願いしましたが、状況を正確に判断するには限界があります。

そこで、実際に現地へお伺いし、詳しく確認することにしました。


まずは電源周りから確認

現地に到着し、基本的なところから確認を開始しました。

・電源コンセントの確認
・電源ケーブルの確認
・別のコンセントへの接続
・周辺機器を外しての起動確認

考えられるところを一つずつ確認していきましたが、残念ながら状況は変わりません。

電源が入らない状態から考えると、パソコン本体、特にマザーボードなどハードウェア側の故障の可能性が高い状況でした。

そのことをお客様へ説明すると、

「どうしても取り出したいデータがあります」

とのこと。

そこで、修理より先にデータ救出が可能かどうか、調査を開始しました。


まさかのBitLocker暗号化

この時点では、

「ハードディスクが壊れていなければ、データは取り出せる可能性がある」

そう考えていました。

ところが、ディスクを確認してみると……

なんと BitLockerによる暗号化 がかかっていました。

その瞬間、嫌な予感がしました。

BitLockerとは、Windowsに搭載されているドライブ暗号化機能です。

セキュリティ面では非常に優れた仕組みですが、解除するための回復キーがなければ、たとえハードディスク自体が正常でも中のデータを見ることができません。


Microsoftアカウントを頼りに調査開始

まず確認したのは、Microsoftアカウントの有無です。

お客様に確認すると、

「Microsoftアカウントは取得しています」

とのこと。

これなら回復キーが保存されている可能性があります。

Microsoftアカウントのページへログインし、デバイス情報を確認します。

そして結果を見てみると……

「あれ?」

Microsoftアカウント自体は存在しています。

しかし、

デバイスと連携されていない……

つまり、そのアカウントにはBitLockerの回復キーが登録されていませんでした。

念のため、他に所有されていたMicrosoftアカウントも確認しました。

しかし結果は同じ。

どのアカウントにも対象パソコンの情報はありませんでした。


最後の望みにかけて

ここで、AIにも相談してみました。

しかし回答は、

「BitLockerの暗号化を解除するためにパスワードを解析することは、現実的にはほぼ不可能」

というものでした。

残された可能性は、

「一時的でも元のパソコンを起動できれば、データを取り出せる」

ということ。

幸い、同型のパソコンがもう1台あったため、その電源ユニットを利用できないか試してみることにしました。

最後の望みを込めて接続。

……しかし、結果は変わりません。

やはり起動することはありませんでした。

ここまで確認すると、原因はマザーボード故障の可能性が非常に高いと判断しました。


BitLockerの便利さと怖さ

今回の件で改めて感じたことがあります。

BitLockerは、パソコンを紛失した場合などに大切なデータを守ってくれる、とても重要なセキュリティ機能です。

しかし、その反面、

回復キーがなければ、正規の所有者であってもデータを取り出せない

という非常に強力な仕組みでもあります。

「パソコンが壊れても、ハードディスクを取り出せば大丈夫」

という昔ながらの考え方が通用しない時代になっています。


これから準備しておきたいこと

今回の経験から、改めて以下の対策が重要だと感じました。

① BitLocker回復キーを保存する

パソコン購入時や初期設定時に、自動的に有効になっている場合があります。

必ず回復キーを確認し、安全な場所へ保存しておくことが大切です。

② 重要なデータは別の場所へ保存する

大切なデータは、

・クラウドストレージ
・外付けハードディスク
・別のバックアップ先

などへ保存しておきましょう。

③ Microsoftアカウントとパソコンの連携確認

Microsoftアカウントを利用している場合でも、必ずデバイス情報が登録されているとは限りません。

万が一の時に備えて、事前に確認しておくことをおすすめします。


今回のトラブルは、単純な「パソコンが壊れた」という話ではありませんでした。

ハードウェア故障、データ保護、暗号化。

いくつもの要素が絡み合ったことで、改めて日頃の備えの大切さを実感する出来事でした。

BitLocker恐るべし。

でも、正しく理解して準備しておけば、とても頼りになるセキュリティ機能でもあります。

「もしもの時」に困らないために、皆さんも一度、自分のパソコンのBitLocker設定やバックアップ状況を確認してみてはいかがでしょうか。

アイキャッチ画像:Image by pikisuperstar on Freepik

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